展示会マーケティングとは? 展示会の効果と具体的な対策ご紹介【ノウハウ】

展示会マーケティングとは 展示会

2020年1月以降のコロナ禍では展示会はオンライン展が中心となりましたが、2023年4月以降に開催された会場で開催された展示会は前年の来場者を大きく上回っています
(来場者数 2023年 前年比データはこちら※当社調べ)

会場で開催される展示会の最大の特長は、来場者が目の前でデモンストレーションを見たり製品を実際に操作したりといったリアルな体験できる点にありますが、情報収集やコミュニケーションも対面の方がスムーズだと感じている方が多いのだと推察されます。

そのような展示会で成果を出すための「展示会マーケティング」について、事業会社での多くの展示会出展を経験した知見をベースに実践的な取り組みをご紹介します。

展示会の2つの機能 ~マーケティング機能とブランディング機能~

顧客を増やすためのマーケティング機能

展示会には新しい技術や業界トレンドの情報収集、課題解決につながる製品・サービスを探すため、導入予定の製品をまとめて比較して見たいなど、さまざまな目的を持ってたくさんの方が来場します。

出展社は潜在的な課題に気づきを与えるような情報や課題が顕在化している来場者には解決につながる製品・サービスの技術的な特徴、スペック、取引実績など自社の優位性をアピールしブースへの集客し多くの見込み顧客(情報)を得ること目指します

アンケートや名刺交換で得た見込み顧客(情報)は、データを整理(セグメント)して会期後にメール配信などでフォローし中長期的にコミュニケーションを継続して行います。

ブランド活動の一環としての展示会

BtoB取引においても企業や製品やサービスのイメージが企業の購買行動に影響を与えるためブランディングの一環として出展します。展示会で企業や製品・サービスの認知度を高める、既に取引がある顧客に対しては安心感の醸成や満足度を高めることで営業活動を補完する効果が期待されます。

ブランディングは1回の展示会出展で大きな成果を期待することは難しいので複数年にわたる出展や自社Webサイトや広告など他のメディアとのリレーション(連携)を図り実施します。

ブランドとは「ある売り手の財やサービスを、他の売り手のそれとは異なるのもとして識別するための名前、用語、デザイン、シンボルおよびその他の特徴」である。

ブランドによって、自社の製品やサービスを他社から識別することが可能になる。また、信頼の印でもあり、将来も継続していくという約束をすることで、顧客には安心して購入してもらえるようになる。

出典元:B2Bブランディング 企業間取引接点を強化する 余田拓郎+首藤明敏編

展示会は来場者の購買活動(検討フェーズ)に幅広く対応

来場者にとっての展示会は、購買活動や検討を効率的に進めることができる場所です。出展社はこの活動を支援するための情報提供を行います。来場者の購買活動(検討プロセス)と出展社の活動を対比してすると以下のようになります。

展示会の会場で対応できる範囲

【来場者:課題が潜在的な状態】
 ・自社または自分の業務に関連する新しい情報を得たい、専門分野の知識を広げたい
【出展社:課題を顕在化させるための情報】
 ・技術トレンド/法規・規格対応の情報提供

【来場者:課題が顕在化している状態】
 ・自社または自分の業務に課題や困っていることがあり解決方法を探している
【出展社:解決の必要性・解決方法を提案】
 ・業務改善/効率化/品質向上などの課題の解決策を提示

【来場者:導入を具体的に検討している】
 ・導入効果、代替手段がないか確認したい
 ・複数社の製品・サービスを比較したい
 ・導入予定の製品・サービスの仕様を決めて仕様書などまとめたい
【出展社:自社製品・サービスの訴求/デモンストレーション】
 ・製品スペック特徴/他社の製品・サービスで優位性/導入効果(費用対効果、事例)
 ・デモンストレーション、実機で体験できる環境を用意

展示会で出展効果を出すためのポイント

有効な顧客情報(リード)を集めるための取り組み

多くの顧客情報を集めるためBtoCでは消費者向けのキャンペーンなどで顧客情報を集めるプロモーションを展開しますが、BtoBの場合は展示会が多くの顧客情報(リード)を短期間で集めるための有効な手段です。

出展社は来場者と対面でコミュニケーションを図りながら来場者の課題や困りごとをヒアリングし、検討フェーズに合わせた情報を提供することで製品・サービスの導入検討を進める支援を行います。

展示会タイプによる来場者の違い
技術テーマ(AI、IoT、セキュリティなど)の展示会では、来場者があらかじめスクリーニングされているので多くの来場者は自社の製品・サービスに関心があると想定されます。

 一方で、複数の展示会を同じ会場で同時開催する複合展示会や産業別展示会(自動車、医療、食品など)は、自社製品・サービスに関係性が低い来場者も多い可能性があります。

 来場者は名刺情報が記載された「来場者証(バッジ)」を目に付く位置に携行していますが、それを見分け方ながらお声がけするのはなかなか困難です。そのため以下のような取り組みがおすすめです。

自社の製品・サービスに興味や関心がある顧客の情報を集めるために

展示会の種類に関わらず、顧客情報(リード)の取得に専任スタッフ(社外コンパニオンなども含む)を用意し、配布資料(小冊子やパンフレット)やノベルティなどと交換で名刺情報を得ます。

  1. ブースの目立つ位置に集客キーワードを13文字以下にして配置
    ※歩きながら視認できる文字数は「13文字」以下
  2. 小冊子、パンフレットなど配布物を用意(複合展では集客にノベルティを使わない)
    ※表紙の目立つ位置に集客キーワードを記載する
  3. 集客キーワードでお声がけし、小冊子、パンフレットを差し出す
  4. ブースを見ていただけるように促す
  5. 小冊子、パンフレット、ノベルティと交換で名刺情報を取得させていただく

ブースのスペース(小間サイズ)や出展場所の通路の人通りが少なそうなど、ブースに来場者を十分誘導できない可能性がある場合は、ぜひ実施したい取り組みとなります。

すでに取引がある顧客(既存顧客)の展示会に招待する

展示会ではこれまで接点がなかった新規顧客をメインターゲットにしているケースが多いかと思いますが、既存顧客も展示会場に来場いただけるようにご招待することで出展成果を高めることを目指します。

 展示会はすでに取引がある顧客に新しい製品や機能、サービスを紹介できる機会になります。製品機能の拡張や追加オプションを実際に見たいといったご要望に応えできる機会となります。
また、大型製品や環境設定に時間がかかる製品など、お客様の会社に持ち込んでデモンストレーションすることが難しい場合も展示会場なら実現しやすくなります。

展示会出展および展示内容を案内はメール配信や営業担当者からお知らせします。なるべくアポイントを取って「来場者リスト」を作成しておくと会期中の対応がスムーズになります。

 また、自社エンジニアがお客様の声を直接伺う場として活用することができます。営業担当者だけでなく対応するメンバーも事前に検討して準備しておきましょう。

ブランド活動の場としての展示会の取り組み

展示会場で、来場者は1日で数多くのブースを訪問します。その中で初めて接触する顧客に社名や製品を覚えていただくのは難易度が高いため以下の取り組みがおすすめです。

  • ブースデザイン:通路から社名または製品・サービス名称を視認できる
    出展する展示会で社名や製品名の認知度が低い場合は集客に影響しないように集客キーワードもしっかり前面に出す
  • ブースデザイン:複数回にわたり出展を重ねる場合はブースデザインイメージを保つ
  • 持ち帰って見ていただける配布物(カタログ)を用意する
  • 会期後、フォローメール(お礼メール)に以下を盛り込む
    • 展示会のブース写真(思い出していただくきっかけ)
    • 掲示していたパネルやカタログなどのダウンロード
    • 展示内容を紹介するショート動画リンク

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フォローの優先順位を明確にするためのアンケート設計

フォローの優先順位を明確にするためアンケートの基本設計にはBANT条件を用います。

  • Budget(予算)・・・ 予算規模や執行可能な時期
  • Authority(決裁権)・・・購入の意思決定に必要な決裁者や組織、会議体
  • Need(必要性)・・・課題解決策の検討状況
  • Timeframe(導入時期)・・・導入を予定している時期

アンケートに上記項目を用意しておき、会議後の優先順位を決めてフォローを行います。

このアンケートの内容は次の項目でご紹介するメール配信などための顧客情報の管理(セグメントして管理)に利用することができます。

展示会場では、上記のすべての項目をアンケートに記載いただけない場合もあります。その場合は、シンプルなフォローステータス(A、B、Cなどの3段階程度)設定項目を用意しておき、説明員が項目をチェックするといった方法もあります。また、会期後に営業フォローする際に必要となりそうな内容をメモしておくスペースを用意してとおくと便利です。

会期後のフォロー計画について

BtoBの購買活動では、社内起案するまでさまざまなメディア(Webメディア、新聞や雑誌など)や詳しい人のアドバイスなども含めた綿密な情報収集が行われます。購買(導入)する製品・サービスの金額により決裁者が異なるため必要な情報の種類も異なる場合があります。

展示会で集めた顧客情報(リード)の中には「今すぐに製品・サービスが必要」な顧客以外にも「あれば便利だがそれほど必要性は高くないと感じている」「導入検討したいが今期は予算が組めない」「社内で検討進める材料が揃っていない」などこれから検討したい、ひとまず情報提供だけは継続して欲しいといった所謂「これから顧客」の情報も多くあります。
 
これらの顧客(情報)を営業担当者だけ中長期にわたり継続的にフォローすることは非常に負荷が高くなります。そのため、会期後にマーケティング部門が顧客情報を整理(セグメント)し、メールなどで情報発信を行いフォローします。自社Webサイトでの情報提供やウェビナー開催なども行い興味・関心を高めつつ、需要が発生したタイミングで一番に連絡していただけるポジションの確立を目指します。展示会マーケティングのゴール設定は各社さまざまですがこのポジションの確立を指標とした場合は展示会の来場者リストから営業商談につながった件数や受注見込み金額を指標として測定します。

展示会起点のBtoBマーケティングプロセス

まとめ

展示会出展による効果を最大化するための取り組み=展示会マーケティングの実践的な取り組みについてご紹介しました。
 
 まずは、展示会の会場で有効な顧客情報(リード)をできだけ多く獲得することが最重要の取り組みです。

  • 来場者のあらゆる検討フェーズに対応できる展示内容を準備する必要があります。
  • デモンストレーションや実製品を見ていただける展示を準備します。
  • 顧客情報(リード)は量も必要です。ブース運営がカギになります。
  • 会期後、集めた顧客情報を整理(セグメント)してフォローを実施します。
  • フォローは営業担当者だけでなく、部署を横断して取り組みます。
  • メール配信、Webサイト、ウェビナーなどで中長期的にコミュニケーションを実施します。
  • 展示会マーケティングのゴールは展示会の顧客情報から営業商談につながった件数、受注見込み金額などを測定します。

最後までお読みいただきありがとうございました。 
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